国交省が事故物件の定義を明確化!?現状の事故物件の問題をおさらい

高齢者

不動産業者に対する事故物件アンケートによると、「殺人事件が起きた」を事故物件に当てはまると回答した業者は48.1%とのことです。えっ、100%じゃないの!?と声が出てしまいました。事故物件はその判断基準が明確でないため、事業者・入居者間のトラブルのもととなります。国交省がここの指針を作るということですので、現状の問題や、発生に備える対策を記しました。

国交省が事故物件のガイドライン作成に着手

自殺や殺人など、居室内で入居者が死亡すると「事故物件」として取り扱われてしまうことは周知のとおり。でも事故物件って確たる定義ないので、どういうものを事故物件として取り扱うかは不動産屋のさじ加減で運用している実態があります。

 

これでは、入居者側からすると告知をされないで、実はあとから知ったということや、大家さん・不動産屋側もどういう事故を事故物件として扱わなければならないか曖昧な現状です。

 

そこで、国交省が基準を明確にするためのガイドラインを作成することを公表しました。

殺人や自殺、建物の「事故物件」に告知指針 国交省作成へ(産経新聞) - Yahoo!ニュース
国土交通省が、殺人事件が過去に起きたことがあるアパートなど敬遠されやすい「事故物件」について、基準を明確にするためのガイドライン(指針)作成に乗り出すことが31日、分かった。2月から有識者検討会を開 - Yahoo!ニュース(産経新聞)

孤独死は全部が事故物件となるわけじゃない

高齢者の入居を特にスポットを当てて記事にしている私のブログでは孤独死と事故物件のキーワードがわんさかでています。

 

私は過去の記事で書いていますが、すべての孤独死が事故物件となるわけはありません。

事故物件の定義って何?
このブログでは大家さんに対して高齢者を入れてあげましょうよ、としょっちょう記事にしています。それゆえに居室内死亡に対するリスク対策も様々記事にしているところです。しかしながらやっぱり入居者の死亡で事故物件化するのは怖い!この思いが強く、踏...

 

また、民間事業者が不動産屋を対象に事故物件に係るアンケート結果が最近公表されました。その中で、業者がどういったものを事故物件として取り扱うか参考になる結果がでました。

 

事故物件に当てはまる事故

【衝撃の真実】不動産屋が明かす!○○○は”事故物件”として扱わない!?その理由とは…お宅の物件大丈夫??

 

殺人事件が起きているのに、事故物件として取り扱う業者が5割を切っているのが驚きです。これはいけない業者が多いのでは・・・。

 

 

孤独死は事故物件になるか

 

その一方で65%の業者は孤独死は事故物件として取り扱わないという結果も出ています。

 

孤独死で怖いのが発見まで時間が経ってしまい、遺体の汚損が進むことです。遺体の汚損が進んだ部屋は「嫌悪感が抱かれる」部屋となることが考えられ、一般的に事故物件として取り扱うことが多いです。

 

すなわち、孤独死が発生しても、すぐに発見する環境を整えて管理ができれば事故物件になる確率を極力抑えることができるのです。発見率を上げるには見守りに関するサービスを導入しましょう。

 

事故物件は隣室や共用部についても告知する必要があるか

運悪く、事故物件が起きてしまった場合に、いつまで告知しなくてはいけないのか、また、隣の部屋についても告知義務はあるのか疑問に思いませんか?

これについても今後国交省のガイドラインで明示されることが期待されます。

 

現状では、参考になる判例がございます。

 

【隣の部屋の判示】

平成19年8月10日 東京地裁

東京都心で自殺が起きた部屋について、直近の入居者には告知義務があるが、次の入居者には告知する必要がない。また、他の部屋については告知する義務はない。

 

【共用部の判示】

平成18年4月7日 東京地裁

(ビルの屋上から道路上へ飛び降り自殺をしていた)

本件自殺は賃貸目的物とされた本件建物部分で発生したものでなく、また賃貸借契約は本件自殺より1年半経過してから締結されたものであるから、心理的欠陥に該当するものとは認められない。よって、賃借人の請求を棄却する。

 

共用部については、住宅でなく店舗の賃貸借でかつ1年半経過している事例であるため、住宅用も大丈夫と考えるのは危険かもしれません。

 

判例ではないですが、全日本不動産近畿流通センターでは、区分マンション共有部での自殺・事件がおきた場合は、対象物件の瑕疵を論ずること自体、無意味と断定しています。

共用部の自殺は告知義務なし

 

個別ケースもあるかと思いますが、隣の部屋、共用部については告知義務がないものとされた判例や専門機関による見解があることは、大家さん、不動産屋にとって心強いかことかと思います。

事故物件には保証会社、保険、保証人でリスクヘッジを忘れないように

人が死ぬのは当然ですが、もし所有物件に孤独死等が発生し、運悪く事故物件につながってしまうケースとなってしまった場合に大家さんは備える必要があります。

備えとして、保証会社、保険、保証人が考えられます。

保証会社のケース

保証会社は入居期間中の滞納家賃や原状回復、訴訟費用をメインにケアするサービスですが、孤独死に対応する保証会社も出てきています。

これは私の過去の記事でも紹介した「CASAの家主ダイレクト」、そして「ナップ」を例に挙げましょう。

CASA家主ダイレクト
自主管理大家が高齢者を受け入れようとした場合の保証会社
滞納時等の賃料債務の保証をしてくれる保証会社。今やほとんどの大家さんが使われていることでしょう。でも原則、不動産屋が提携している保証会社が使われるため、大家さんが能動的に使える保証会社ってあまりないんじゃないと思いませんか?しかも高齢者向...

 

どこの保証会社を活用するかは、通常管理会社が決定します。しかし、これは自主管理大家が自らの意思で加入できるので、高齢者の受入れの際には検討の余地があります。

ナップ
保証会社ナップは高齢者用に使えるかも
これから高齢者や生活保護など、あまり属性のよくない方を受け入れるシチュエーションも増えるかと思います。そういった場合、夜逃げや孤独死に対応している保険や保証会社を入居者に絶対に契約してほしいのが大家心。今回は、孤独死が発生したあとの残務処...

 

この保証会社は、亡くなったあとの事務処理も法的に粛々と進められるスキームを持っています。単身の相続人の存在が明らかでない高齢者を入居者として迎え入れる際に検討したい保証会社です。ただし、ナップを管理会社が取り扱っていないと使えません。

 

保険

少額短期保険会社の一覧を過去記事で書いていましたので参考にしてください。

入居者の火災保険にセットされている保険と、大家が加入する保険の2種類があります。

 

入居者加入版
孤独死の費用をカバーするには保険の活用が不可欠(入居者に加入してもらう版)
孤独死に対応した保険を紹介いたします。孤独死対応保険は入居者が加入するものと、大家が加入するものとの2種類あります。今回は賃貸借契約を結ぶ際に、入居者が加入する火災(家財)保険に孤独死対応が附帯した商品を、少短協会の資料からリストアップ...

 

入居者の保険では、「原状回復費用」「遺品整理費用」を賄うことができます。

 

家主加入版
孤独死の費用をカバーするには保険の活用が不可欠(家主加入版)
前回は入居者が加入する火災保険で、孤独死が起きた場合の原状回復費用と遺品整理費用の補償を受けれることを紹介しました。今回は、事故物件となってしまった場合の空室期間賃料や減額賃料を補償する、大家さんが加入する保険を紹介いたします。家...

 

家主の保険では、「原状回復費用」「遺品整理費用」に加え「家賃損失」を補償してくれます。家賃損失というのは、次の募集までの空室期間や、値下げしてしまった家賃と相場家賃のギャップを埋め合わせてくれる補償のことです。

 

保証人

保証人を立てると、事故物件となってしまった場合に損害賠償の請求が可能となります。

民法改正に伴い、保証会社の存在がさらに強まりますが、孤独死は保証会社だけで補うことが難しいかもしれません。

何より、死後の事務について保証人に頼れるということが大家さんにとっても利点となります。

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