生活保護の入居者の場合に入れておきたい契約条文

賃貸借契約書 契約

生活保護受給者を入居者として迎え入れる場合、家賃である住宅扶助費が直接大家さんに振り込まれる代理納付制度を使わない手はありません。ただこの代理納付、受給者から福祉事務所に申請して、取りやめることができるシステムなんです。そうすると多くの大家さんは想像しますよね?家賃滞納ということを。今回は契約条文でリスク回避できないか、弁護士に聞いてきたので記事にしようと思います。

代理納付は受給者が勝手にやめることができる

冒頭に書いたように、代理納付って受給者が申請することによって取りやめることができるシステムなんです。

それはなんでか・・・ひとつに生活保護の制度って「自立」を促しているんですね。そのため、受給者が「今後は自分で家賃を支払うよう金銭管理もしっかりします。なので代理納付やめて、今後は家賃代も自分にください」なんて申請がまかりとおってしまう実態があります。

 

そうなると、代理納付があるから生活保護を迎え入れた大家さんにとっては気が気じゃなくなるのは当然です。

保護脱却し、自立できればそれにこしたことはありませんが、そのうち滞納が発生することも十分あるわけです。

 

このような問題があるので、入居時に代理納付ありきだから契約したんだよ、ということを確約させる文言を契約書に落とし込むことができないか、弁護士に先日相談してみたんです。

賃貸借契約書の書き方でカバーができるかも

契約書への落とし込みですが、シンプルにこちらの意思を明記したいので次のような文言が特約として有効か弁護士に尋ねました。

 

・賃借人は本契約期間中において、頭書に記載する賃料等を、所管福祉事務所による住宅扶助代理納付制度により賃貸人が受領することを承諾する。

 

・賃借人は賃貸人の承諾を得ることなく、所管福祉事務所に対し代理納付中止の申請を行ってはならない。

 

弁護士の回答

どちらの文言も民法上は盛り込むことに問題はなさそうですね。入居者側のみで取りやめる意思を示しても、代理納付は継続しうる関係なので。(この間、第三者弁済がうんちゃらかんちゃら言ってたんですが結論のみ記載します)

 

あとは消費者契約法の観点ですよね。この文言が受給者である賃借人に対し、一方的に不利益となるかという点もみなくてはいけません。私はならないと見ていますよ。

理由はこんなところでしょうか。

・代理納付の対象がそもそも住宅扶助という賃料債務に充てることに使途が限定されている金銭であること

・代理納付により賃料が確実に支払われ、賃料滞納による解除リスクがなくなるので、賃貸借契約継続に対する借主側の利益にも恩恵がある制度であること

 

 

 

よっしゃ、よっしゃ!後半の消費者契約法に違反しない旨の回答は私が考えているとおりであったのでほっとしました。

あっ、この弁護士はもと国交省のエリート官僚から弁護士になったみたいで、不動産関係の法律の解釈は問題ないはずだと思っています。

契約書に違反したからといってすぐに退去を迫れるか

実際に、この文言で契約書を運用できたとしましょう。そして、入居者が代理納付を取りやめて滞納が発生した場合の解除のあり方についても質問してみました。

 

弁護士の回答

知っていると思いますけど、信頼関係の破壊が認められるかがやっぱりポイントになります。

 

(結局、解除するには目安の3ヵ月は家賃滞納を我慢しなくてはいけないということになりそうですかね?)

 

弁護士の回答

ただこの場合は、代理納付を前提に契約が組み立てられていますよね。現実の滞納は1~2カ月であっても信頼関係破壊で解除は認められることになる可能性はありますよ。

 

大家の皆さんはご存知かと思いますが、滞納が発生したからと言ってすぐに賃貸借契約を解除することはできません。

3ヵ月滞納されることが一つの目安とされています。それが代理納付前提の契約条文を盛り込むことで傷を浅くできることがわかりました。

まとめ

・滞納リスクを抑え込める代理納付は生活保護受給者の意思表示で取りやめることができる

・取りやめることができない、代理納付ありきで契約を結んでいるという文言を契約書に明記しよう

・それでも代理納付が取りやめられ、滞納が発生する場合は、通常の解約よりも早く解約が認められそう

 

生活保護の入居者は家賃が市町村から払われるから安心だ、なんて安心しきっている大家さん。落とし穴もあるので回避できるところは、入り口で回避しましょう。

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